2019年現在 AP1/AP2 S2000の相場について考える
2021/10/28
オープンカーとは思えないほどの高いボディ剛性と戦闘力を兼ね備えたホンダFR S2000。未だに人気の衰えないこの1台の相場について注目してみたいと思います。
目次
ホンダ創立50週年記念のFRスポーツ
出典:https://clicccar.com/2016/05/17/372114/
1999年4月に発売されたS2000。ホンダとしては珍しい…というより、S800以来という実に29年ぶりのオープン2シータースポーツとなりました。当然のことながらFRレイアウトのプラットフォームがないため、専用設計となるわけですがオープンカーとは思えないほどの高剛性を実現させたハイXボーンフレームは誰もが驚く仕上がりでした。
オープンカーといえば、クローズドボディにある屋根がないため、箱で合成を形成することができず、貧弱なボディを連想させるものです。あの車とか、あの車とか…あれなんて屋根閉まらなくなっちゃうもんね!!!笑
しかし、S2000は違いました。剛性の高さと、50:50の重量配分から限界がとても高いため、グリップ走行で異次元のコーナーリングスピードを見せつけられました。
そして、エンジンは2L直4のVTECのF20。なんとノーマルで最高出力は250ps、9000回転まで回ってしまうという驚異的なエンジンでした。ただ、実際のところは街中で9000回転まで回すのは至難の業。笑 サーキット走行でしか本領発揮できないエンジンでした。とはいえ、サーキットに行けばNA2Lオープンカーでは向かうところ敵無しどころか、ターボ車をもガンガンカモってました。
2Lから2.2L、9000から8200回転へ
出典:https://option.tokyo/2018/11/10/10802/05_bv6o0873/
オープンカーといえば、ドライブデートのイメージが強いのですが(僕だけか!?)このS2000はあまりにも戦闘力が高いこと、そして9000回転まで回るエンジンの特性上高回転での最高出力にも驚きましたが、逆に低速トルクの細さにも驚きました。坂道などでは慣れないとエンストを起こすほど。簡単に言えば一般ユーザーにはとても乗りづらい車に尖った車になってしまったわけです。
マイナーチェンジで2.2Lエンジンとなり、最高出力は10psダウンの240psとなりましたがレブリミットが8200回転、低速トルクも太くなりとても乗りやすくなりました…が、尖った部分がなくなったため、一部のファンからは嘆きの声が聞かれるようにもなりました。
ステージはサーキットのタイムアタックへ
これだけの高性能な車両となると様々なステージで引っ張りだこ。各社こぞってタイムアタック使用の車両を製作し、数々の記録を生み出してきました。
出典:https://tire.bridgestone.co.jp/potenza/event/2015/1125/report01.html
その中でもこの1台は外すことのできない車両だと思います。ASM YOKOHAMAのS2000。キング・オブ・NAのこのマシンは常に「筑波NA最速」というキーワードとともにタイムアタックを行い、2006年には57.398秒という圧倒的なコースレコードを樹立し、2017年までその記録は破られることはありませんでした。S2000でサーキット走行をする人にとっては誰もが憧れであったでしょう。
出典:https://www.goo-net.com/autosalon_2011/turningcar/turningcar_7.html
そして個人的にはこの車は外せません!C-WEST S2000。なんと言っても全ての外装パーツがカーボンで構成されているスペシャルな1台です。自分の務める会社の子会社ということもあって、思い入れは強かったのですが、ただただ憧れていました。僕が初めて鈴鹿サーキットをFD3S RX-7で走ったときに、脇阪寿一選手がこの車を運転し一緒に走っていたのですが、スプーンカーブ手前でミラーに写った!?と思った瞬間にあっさり抜かれて、あっという間に見えなくなってしまいました。一応僕の車も500psあったんですけどね。笑
手前味噌ではございますが…私の作ったS2000も結構な自信作。基本的には街乗り仕様で車高もほどほどで当時は珍しい19インチ仕様。そしてオーディオもにも手を入れて快適仕様だったのですが、実は!?エンジンはSPOONの2.2Lコンプリートエンジンを積んで、SPOONキャリパーも装着。前後フェンダーのワイド化や、S2000では必須のガセットプレートやドライブシャフトスペーサー装着、LSD・ファイナル変更など見た目のチャラい仕様?からは想像できないくらい、実は速いんです!といったこの車両は街中でも、サーキット走行シーンでも引けを取らない存在でした。
こんなS2000が発売から20年経った今、どのような相場状況となっているのでしょうか?
2019年 3月現在の小売相場
出典:https://kakaku.com/item/K0000286512/catalog/
一昔前は、前期の10万km近い車両で不人気カラーであれば100万円前後で販売されているものも見られましたが、現在は確実に相場が上がっています。また、昔ほどタイプVが極端に安いというわけではなく、若干安く、ベースグレードの良質車がずば抜けて高いといった感じになります。5万km以上の車でも新車価格に迫る勢いです。もっと走行が少ないものは余裕で新車価格を上回っているという状況ですね。
グレード | モデル | 小売相場 | 新車価格 |
AP1 | ベース | 150〜328 | 338 |
タイプV | 140〜218 | 356 | |
AP2 | ベース | 210〜300 | 378 |
タイプV | 230 | 399 | |
タイプS | 315〜398 | 399 |
※5〜10万km 修復歴無しにて検索(ASK表記は除外)
流通台数の推移から見る売り時・買い時
【AP1・AP2 S2000】年間流通台数はこちら 月間流通台数はこちら
現在の流通台数を見てみるとAP1・AP2を合わせ235台となっています。昨年の4月は300台を超えており、そこから9月に向けて台数は約100台減少し200台ほどとなりました。そこから若干の増減はありますが大幅な増加はしておらず、半年以上の間相場の高騰が続いております。イメージで言えばRX-7に少し似ているような感じがあり、今後上昇を続けると考えられます。完全フルノーマルで高値をつけるのは、走行距離が少ない人気色、またはタイプS。その他は無限、SPOON、J’sレーシングなどの人気メーカーのパーツが入ったライトチューン車両が人気となっております。この3月のオークションでの出品台数を見ながら、小売市場での流通台数の増減を見て売却を考えても十分に間に合うかと思います。買取査定の際は間違いなくスポーツカーを扱う専門店に依頼することをオススメいたします。買取店とでは雲泥の差が出ると言っても過言では有りません。私が担当なら、手に入らない車なので、無理をしてでも金額を出すと思います。
また、購入を検討しているユーザーは、3月中に出てきた車両で販売店と交渉、そこに間に合わない場合は少し様子を見て吟味すると良いでしょう。ただし、状態の良い個体が減少しているのは間違いありません。出物があればすぐに手に入れることをオススメいたします。
ちなみに、オープンカーは例年、真冬と真夏にニーズがなくなるため相場が下がる傾向にあります。さぁ、これをどう見るか!?
S2000を高く売るコツは?
出典:http://gtnet-fukuoka.jp/wp-content/uploads/sites/19/2018/07/image31.jpg
相場が高騰しているので、基本的には買取査定時に高い金額を付けてくることが多いと思います。その際に我々査定士が注目する箇所は2点。幌とレザーシートの状態です。良くも悪くもS2000はスポーツ走行を意識するホンダ車ということもあり、作りがシンプルでパーツ点数が少ない。そのため傷む箇所も少なくなっております。また、極端にサビが発生する車でもないので、そのあたりは心配ないかと。そんな中で幌とレザーシートの状態は気にするポイントです。特に初期モデルはガラス幌ではなくスクリーンのため、曇りや、酷いものでは割れていて雨がダイレクトに侵入してしまう状況になっているものも少なくありません。それを中期型以降のガラス幌に変更してあれば、かなりの高評価に。同様に、レザーシートもしっかりとお手入れされていたり、リペアがされていれば加点になります。売却する直前にやるのは無駄になりますが、この先も乗っていくと考えている方は、やって損はないと思いますよ!
とにかく乗って楽しい車です!
出典:https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17136923
僕のもう一度乗りたい車種リストの中に入ってるんですよね。本当に乗って楽しい車です。ということは…皆さん同じことを考えていて、ホンダの高回転が気持ちよく回るVTECエンジンでFRレイアウトという車はこのS2000しか存在しないわけで。それが、年々数が減っていくとなると、誰もが欲しがるわけですよね。ですから、極端に値崩れすることは考えにくいので、状態の良い車両があったら迷わず購入して、楽しんでいただくことが大切かと思います。オープンカーに乗ると世界が変わりますよ!