中古車相場を知ることのメリット 〜売却編〜
2021/10/06
目次
売却時もオークション相場が基本
このブログを書き始めてから何度も何度も出てきているフレーズが「オークション相場」と「小売相場」。しつこいと言われそうですが、オークション相場に関しては実は売却時が一番重要なポイントとなります。
まずは売却時のユーザーの行動を追ってみましょう。
①車検や故障、事故等、様々な理由で乗り換えを検討する
②自分の車が今いくら位なのか「相場」を調べる
③出張査定を申し込む、またはお店に足を運ぶ
一般的にはこのような流れで車の売却を進めていきます。ここで注目したいのは②③です。ほとんどのユーザーはGOOやカーセンサーといった中古車情報サイトで、自分の車と同様の車両がいくらくらいで販売されているかを調べます。その後、買取専門店のサイトで大まかな相場を調べたり、電話問い合わせをします。
ここで具体例を出してみると…中古車情報サイトで自分の車の類似車両を見ると、店頭価格140〜150万円で販売していました。その後、買取専門店への問い合わせで100〜120万円くらいと聞きます。この状態で実際に査定を申し込み、査定価格が105万円と提示されたとします。すると人間は面白いもので、店頭価格の最大値150万円を勝手に相場の最大値と思い込んでしまうことがあるのです。場合によっては納得できない!と、怒ってしまうお客様もしばしば…わからないでもないですが。笑
しかし、我々も慈善事業ではなくビジネスをしているわけで、利益を出さなければ飯が食えないのです。
車屋は意外と儲からない!?
これはよく言われたり、思われたりしていますが「1台で何十万円も利益が出るのだから、車屋って儲かるんでしょ?」と。確かに一昔前はやり方次第で車両に大きな利益を乗せて商売をされているお店も存在しました。
しかし、昨今のインターネットの普及により、市場の流通価格が大体いくらくらいか、はたまた、この車がいくらで売買されていたか等、細かい情報が入手できるようになってしまったため利益が出しにくくなっているのが現状です。
その上、販売店に関しては車両原価に発生する金利、土地代(家賃)、維持管理費、広告費、人件費等様々な経費が発生するため、1台の売買に対してそれなりの利益をいただかなければ、採算が合わないというのが本音です。
また、買取店も市場が飽和状態の上、一括査定等で攻めた金額を出さないと買い取れない状況となっているので、一台あたりの粗利は以前よりも相当減っております。それを前提に以下の図をご覧下さい。
ユーザーにとってはとても高値で売りやすい状況になっていると言えますが、販売店・買取店はとても苦戦を強いられていることを、ご理解いただけると、それだけで店舗の担当スタッフも報われます。笑
それではこれらを理解した上で、更に掘り下げてみたいと思います。
買取価格はオークション相場を基に算出
何故オークション相場を基に算出するのか
以前の記事でもお伝えいたしましたが、小売相場は販売するための指標でしかないので基本的には全てオークション相場が「相場」として扱われます。
実際に我々査定士がお客様の車の査定を行って査定額を算出するわけですが、一般的にはその会社の本部機能、または仕入れに携わっているプライシングの部署が査定票を基に金額の算出をいたします。
このときに何を参考に査定額を算出するのか。買取大手のG社やB社では自社の膨大なデータから算出するケースもありますが、一般的なお店ではオークション相場を基に算出いたします。
一番多い流れは、日本最大のオートオークション、USSグループの過去3ヶ月の相場を見ます。私が毎週行っているUSS東京・USS名古屋は全体的に高値で取引されているため、そこでの流通価格が参考になります。その他のオークション会場のデータも見ることができますが、流通価格が低いためこれらを参考にすると、買い取ることができないというわけです。
感の鋭い方ならおわかりかもしれませんが、どのお店でも見ている相場は「同じ」ということです。
何故お店によって査定額が違うか
見ているデータが同じなのに何故査定額がお店によって違うのか。それは…
①プライシング担当が相場をどう読むか
過去3ヶ月のデータを基に買取金額の算出を行いますが、実際に売買をするのは未来の話。そこでしっかりと利益を確保するために例年の相場の動きはもちろん、社会情勢、為替など様々な観点から未来を予測します。
直近のデータを基に、低めに提示すれば安牌ですが、それではこの買取競争の中買い取ることができません。かと言って、高買いをすればオークションで利益を出せないどころか、赤字になってしまいます。この絶妙な調整を各社プライシング担当が担っているため、査定額に違いが発生します。
②買取店・販売店・専門店による違い
買い取った車をどのようにして売却するのか、この流通ルートによって査定額に大きく違いが発生します。
■買取店:オークションに出品して売却
一般的に買取店は買い取った車をオークションに出品して利益を出します。基本的には在庫にしない店舗が多いので、入庫した車両をすぐにオークションに出品し利益を出します。そのため、オークション相場よりも下の査定額となります。
■販売店:基本的にはオークションに出品して売却
買取店同様にオークション出品を前提として買取・下取をします。そのため、オークション相場よりも下の査定額となるのですが、販売店の強みは販売車ありきということ。特に下取の場合は販売車両で利益を確保できるため、時期や状況によってはオークション相場ギリギリまで査定額を提示できます。また、店頭にて再販ができることも強みとなります。その場合、オークションで仕入れてきたと考えれば、かなり際どいラインまで査定額の算出が可能となります。
■専門店:オークション出品もするが、店頭販売が前提
専門店の一番の強みが店頭販売ができるということです。これだけを聞くと、一般の販売店と大きな差がないように思いますが、専門店はよりそのジャンルに特化しているため、強気の店頭価格を出すことができます。
尖った車になればなるほどですがカスタムされていたり、絶版でレアな車両であったり、専門店でなければその価値を見いだせないような車両は、他店よりも高く販売することがございます。
例えば、一般的に店頭100万円で販売しているような車両を110万円で販売する、といった形です。そうすると、オークション相場を基にもしますが、店頭販売のみを考えた上、時にはその相場を超えた金額にて査定額を提示することがあります。
一口に買取査定額と言っても、その会社・店舗によってこれだけ算出方法が変わってくるというわけです。
買取・下取り査定額をアップさせる方法
一般的に査定額をアップさせるには洗車をしてキレイにした状態の方が良い、などと言われますが、我々プロからしたらどちらでも良いかなと。笑 汚れた車を持ってきていただいても、どれくらいキレイになるかは見たらわかります。もちろん、普段からキレイにされている車はもっとわかるので、売るときになって洗車をするのではなく、常日頃愛車をキレイにしてあげて下さいね。
それでは、実際に買取・下取り査定額をアップするためにはどうするかを書き出してみたいと思います。あくまでも私の主観であり、特にスポーツカーに偏っている部分もございますので、皆様の参考にしていただければと思います。
①売却時期は価格交渉しやすい決算月前後を狙う!
以前にもお話したように、例年2・3月や8・9月はオークション相場が高く、その上決算時期は価格交渉がしやすいのでこの時期を狙っていけば良い査定額が期待できます。
②一括査定は時間の無駄!?専門店での買取査定を依頼する!
現在の主流は一括査定です。多い方だと10社くらいに査定を依頼しています。しかし、先程もお伝えしたように、オークション相場は各社同じものを見ています。つまり、7〜8社の査定は無駄になると言っても過言ではありません。むしろ、対応する労力・時間等を考えればマイナスだと私は考えます。そこで、指標になる買取店と専門店に査定依頼することをオススメ致します。よほどのことがなければ、良い結果が得られます。ちなみに専門店に勤めている私に言わせれば、スポーツカーの価格だけでは負けることはありませんよ。笑
③できる限り内装をキレイにする!
外装の洗車はしないよりはした方が良いですが、どうせなら内装をキレイにして下さい。私の経験上、内装をキレイにしているお客様は、それ以外もキレイに扱っており車の状態が良いです。容易にイメージできますが、ゴミ屋敷みたいな車内に平然といられる方は、車の洗車はもちろん、メンテナンスなんてやってないですよね。ですから、状態が悪いかな…と判断してしまいます。
④整備記録簿をしっかり記入!
特に絶版のスポーツカーにはとても重要な項目です。現在90年代の国産スポーツカーが脚光を浴びており、高値で取引されておりますが、20年以上も前の車ということも有り10万km走行は当たり前。20万km走っていたっておかしくない状況の中、今までどれだけメンテナンスされた車両か、ということをとても重視しています。日頃のメンテナンスはもちろん、エンジンOHやリビルト載せ替え等、次のユーザーにとってはこういった状態の車両が喉から手が出るほど欲しいというわけです。年式や距離だけでなく、愛車を大切にしてきた日々の努力が評価される時代になりました!
ついでに買取・下取り査定時にやらない方が良いこともお伝えしておきます。
キズやヘコミの板金修理
我々業者は板金業者との付き合いがあるため、業販価格にて修理ができます。そのため個人で板金修理をすると絶対にマイナスになります。ただ、査定時にキズやヘコミがマイナス印象になることも事実です。つまり、普段から車を修理しているのであれば別ですが、買取査定のときに慌ててやらない方が良いということですね。
査定額を天秤にかけて右往左往
一括査定等で他社の金額を提示して交渉する、ここまでは誰もがやることですが、これを何社にも渡って少しでも高くしようとする、これはNGです。我々業者も人間です。あまりにももてあそばれるようなことをされれば「じゃ、結構です」といって断ることもございます。良い査定額が出ていたのに、自滅して涙を流しているお客様をたくさん見てきました。商談はあくまでも人と人。気持ちの良い取引を心がけましょう。
スポーツカーを高く売る方法は?
まずは私に一度ご相談下さい。その上であなたに最善の方法をアドバイス差し上げます。かっこいい車であればかなりの高評価をするつもりです!ただし私の性格上、内容によっては他社をオススメすることもございますが…そんな私でも信用していただけるのであれば、まずは一度ご相談を!人生で2番目に高い買い物。売るときにも高値で売りたいですよね。